ある若い女性の相談です。
彼女は誰がいてもトイレのドアを閉めることができないのです。
それで、家以外ではトイレを我慢するようにしていたのですが、彼氏ができて、彼と一緒に過ごしている時など彼に呆れられていました。
彼女はなぜか、トイレのドアを閉められないのです。
また、お風呂に入った時に、どうしてもそこでおしっこをしたくなるのです。
お風呂に入る前に済ませればいいものを、なぜか、お風呂の中でしたくなるのです。
こうした、自分では明確な理由が分からないで、止められない行為があります。
しかし、すべては無意識からの働きかけなのです。

彼女の生い立ちにおいて、母親との関係で精神的満足感が無いまま育っていきました。
母親が、彼女の要求にちゃんと答えてくれないのです。
彼女は子供時代、田舎で育ちました。
その家は、トイレが離れていて、夜トイレに行きたくなっても、夜寝る前にトイレに行く時も、母親に泣いて頼んでも、一人で行かされていたのです。
大人になっても、母親とは意見が合わずに、母親と過ごすことがストレスに感じています。
彼女の無意識の中に、母親に対する不満や怒りという感情による抗議の心情(情動)が植えつけられていたのです。
彼女にとって、トイレというキーワードは、母親に対する精神的な反抗だったのです。
と同時に、本人が気付いていない、母親への甘えの要求が、トイレを使う行為の中で訴えかけられ続けられていたのです。


こうした、彼女の中の無意識の働きかけの原因をしっかりと捉え理解できれば、彼女の理性が「どうすることが必要か」と判断して制御することができるようになるのです。


人はこうした無意識からの衝動に振り回されて生きています。
その衝動が、社会的に問題がない場合は、気にして止める必要もないのでしょうが、そうでない場合は、止めようとしても止められなくて苦しみのです。

性癖の場合も同じなのです。
人と違った行為に走ってしまう場合、そうした性癖は、生まれつきではないのです。
よく、社会的に問題となる性的な行為を行い、「ストレスがたまっていたから・・・」という言い訳や、「酔っていたから」という言い訳を聞くことが多いと思います。
こうした、言い訳は、本人が、自己の無意識からの衝動の本当の理由を知らないからです。
こうした犯罪的な行為によって、人生を台無しにしないためにも、また、止めたくても止められない混乱した生活を送らないために、無意識の中に潜む、衝動を起こす原因をしっかりと認識することなのです。
認識することで、理性がしっかりと働くようになり、止められるようになります。